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日々揚げ足をとって生きていく

不定期に揚げ足をとっていきます

ファミコン前夜、人々は「夢のゲーム機」を待ち望んでいたのか?

gigazine.net

ドンキーコングが登場した1981年は、アメリカで大ブームを巻き起こした数々のビデオゲーム機が消えていたころ。
ゲームを楽しめる夢のような端末の登場が待たれていた頃でもありました。

 実態はむしろ真逆で、アタリショック以後北米のゲーム専用機の需要は大きく落ち込んで、当初はなかなか売れなかったらしい。*1実際動画ではなんと言っているかといえば、

It was saturated with a lot of different consoles, and the boom in home computers made a lot of people question why they’d want a separate device just to play games.
[市場は]さまざまな種類のコンソールで飽和状態であり、またホームコンピューターのブームによって、たくさんの人々が「ゲームをするためだけの独立したデバイスなんて必要なのだろうか」と疑問に思うようになった。

 「夢のような端末」なんていう記述はどこにも出てこないし、むしろまったく逆のことを言っている。「パソコンでゲームできるのに専用機なんて買わなくていいじゃん」という空気を打ち破ったのがファミコンの凄いところというわけだ。

そこに登場したのが宮本氏の作った「物語性」のあるゲーム。スーパーマリオや…… ゼルダの伝説など。物語性のあるゲームは、任天堂NES(ファミリーコンピューター)でしか体験できないゲームでした。

 マリオが明確な物語性をもったゲームの初期の例だというのは、この記事(A Brief History of Storytelling in Video Games | Digital Raconteurs)を読む限りでは間違いではないようだ。訳も別にそこまで間違っているわけではないのだが、前文の意味を取り違えてしまっているために、なんでこの文章がここになければいけないのかという必然性が見えづらいものになってしまっている。ゲーム市場が飽和状態になり、ゲーム専用機の存在意義が失われかけていた空気の中で、専用機でしかプレイできないストーリーテリングを持ったゲームが登場したおかげで、ファミコンが一気に売れた、という一連の文章の流れが削がれているのだ。

 加えて地味な誤訳を指摘しておくと、ドンキーコングに登場するジャンプマン(マリオ)を「木こり」としているが、マリオは大工(のちに配管工)だ。動画でもしっかり“carpenter”と言っている。

*1:Wikipediaを参考にするのもどうかと思うが、注釈の中に出典付きで以下のように記述がある。“当時、米国任天堂社長だった荒川實によれば、ビデオゲームに対する拒絶反応があまりに強いので、最初はほとんど商売にならなかったとのことである[12]。”ファミリーコンピュータ - Wikipedia